子午線の祀り

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 7月14日、世田谷パブリックシアターで木下順二作、野村萬斎演出「子午線の祀り」を観ました。
 公演パンフレットによれば、1976年に初演された第一次公演以来、新劇、歌舞伎、能、狂言などジャンルを超えたスタッフ、キャストによる上演は、昭和の時代に第五次まで行われたそうです。初演の頃は、私も購読していた演劇専門誌「テアトロ」「悲劇喜劇」、また新聞の劇評などを通じて、木下先生のこの壮大な試みのドラマに大きな関心を持っていました。
 木下先生の「もうこのぐらいでいいだろう」の発言で、舞台は第五次で一旦は終わったそうです。宇野重吉さん、山本安英さん、観世栄夫さんなど第一次以来のメンバーが亡くなられたことも一因だったのかもしれません。
 その後、平成に入ってから一度上演されたそうですが、今回の公演は、第一次公演以来の流れは生かしつつも、より今日的視点と表現を取り入れて作り直したいという、世田谷パブリックシアターの芸術監督を勤める萬斎さんの強い思いによって、新たに始められた「子午線の祀り」プロジェクトであるように感じられました。

 平家の滅亡に至る壇ノ浦合戦が、潮の満ち干が決定的だったことに想を得て作られたこの作品は、南極と北極を結ぶ子午線の上に我々が存在し、また月の重力に最も影響を受けて生きていることに着目し、新中納言平知盛、九郎判官義経ら源平合戦に関わった人物たちを生き生きと描き、壮大な歴史ロマンになっています。
 集団による朗誦を群読と称したのは、この作品が最初なのでしょうか。「平家物語」の群読は迫力がありました。また、舞台美術もよく考えられ、宇宙の摂理の中での人間ドラマをイメージさせるとともに、桁のようなメインの舞台の前後にスライドとともに、キャスターのついた4種類の階段(私の見たところ)が様々に組み合わされ、数多くの場面転換に力を発揮していました。見事でした。
 アマチュアではありますが、多少なりとも演劇創造に関わっている私自身にとって大変刺激的な舞台でした。観たいと思い始めて40年、ようやく観ることのできた「子午線の祀り」は大満足の舞台でした。ぜひ新たな積み重ねを期待したいと思います。

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