新しい創造の視点、別世界co.「ロミオ&ジュリエット」

画像1月24日、東京大塚の萬劇場で別世界カンパニー・プロデュース、W.シェイクスピア原作、伊木輔演出「ロミオ&ジュリエット」を観ました。
ジーパン、普段着で演じるシェイクスピア作品は、もう40年も前から演出家の出口典雄さんが試みていますが、今回私が観た別世界co.救済の時チームによる「ロミオ&ジュリエット」もそのような一種と言えなくもありません。しかし、各登場人物の衣装は、単に普段着でということではなく、物語の時代や状況を核戦争後の近未来としたことから生まれた必然だと受け止めました。
核戦争後の混乱した世界で利権争いをする2大勢力、モンターギュ家とキャピュレット家、そして絶対的権力を持つのは軍隊という設定は、意表を突くものでした。

しかし、近未来の世界の設定はいいのですが、原発事故を経験した福島県民の私からすると、核の脅威を類型化して捉えていはしないか思わざるを得ませんでした。核戦争後の世界は、誰も経験してはいませんが、ヒロシマ・ナガサキ・ビキニ環礁・スリーマイル島・チェルノブイリ・フクシマの経験を積み上げて想像することはできます。それを私なりに想像すれば、核戦争によって社会や世界の混乱はあるにしても、まずは放射能による健康破壊にどう立ち向かうかが最大の問題になるであろうし、単にバイオレンスがはびこり、モラル破壊に向かうというのは皮相に過ぎるように思えるのです。

ただ、別世界co.の「ロミオ&~」のラストで、対立する両派が、核戦争を引き起こし絶対的権力をふるう軍隊こそが悲劇の元凶だとして、恩讐を超えて手を結び立ち向かうという演出・構成は説得力がありました。シェイクスピアを現代に生かす新しい想像の視点は、舞台の随所にあったように思います。

画像そのような思いから、公演アンケートには、ラストシーンにおける真の敵が誰であるかの気付きと反乱、そして両派の和解という解釈を生かすためには、核戦争後の世界という設定ではなく、別の設定をぜひに!と書かせてもらいました。
とはいえ、舞台を観たばかりでは、自分の感想をそこまでは整理できていなかったので、実際にアンケートに書いたのは、ラストの芝居を生かすには、核戦争後の世界ではなく別のシチュエーションをぜひに!という程度ではありましたが……(^_^;)

画像左の写真は、終演後客席に来たジュリエット役の今田実里さんとの写真です。
始め、ジュリエットが破天荒なキャラクターで登場したので、このあと一体どうなるのかと思いながら見ていましたが、そこは流石にシェイクスピア作品です。舞台そのものは原作どおりに展開しますので、シェイクスピアの巧みなドラマトゥルギーは、観ている側をグイグイ引っ張ってくれました。もちろん、そこには若い俳優達の大胆でエネルギッシュな演技があったからこそではありますが。まあ、中にはほとんどアマチュア然の俳優も少なからずいましたが……。

今田実里のジュリエットは大変良かったです。特に、追放されるロミオとの別離の場面や、死んだロミオの後を追って死を選ぶ場面の科白は、胸に迫りました。ジュリエットの想いを体全体で表現していて泣かされました。
彼女にとっては、これがデビューの舞台。これからも精進して、ぜひ花開いてほしいと思います。

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